(このサイトは旧サイトとなります。
新たにhttps://w.atwiki.jp/remember11/pages/1.htmlにて
考察をまとめ直しています。)
- 真相
なんもかんも全部、悟が悪い!!!!
というわけで、Remember11の真相とは、
ゲームキャラが真犯人の自覚なく、勘違いで数多のプレイヤーをゲーム空間に閉じ込め、
それに気づいた後も知らんぷりして、自分はちゃっかり救いたい人間を救って幸せになる。という
ゲーム史上類を見ない、とばっちり冤罪事件。
そして
プレイヤーがゲーム空間に閉じ込められるがゆえに、未完のごとき終わりを迎えるが、
その先の考察を鍵として、infinity loopから解き放たれ完結する物語。
Remember11は、infinityシリーズとしてだけではなく、
ゲームとしても、全く新しい斬新極まる物語だったのです。
・なぜ優希堂悟は時計台に登り、転落したのか
冒頭の優希堂悟はなぜ転落したのでしょう?
誰かに突き落とされた?犯行可能な人間は誰でしょうか?
E人格について言及していたCDドラマ内で、
犬伏とカーリーは一階で悟が落下するのを目の当たりにしています。
その直後にカーリーが飛行機事故で遭難したゆにを発見するため、
この3人には絶対のアリバイがあります。
そうなると犯人は榎本でしょうか?確かに彼にはアリバイがなく犯行は可能です。
が、彼は転移装置の研究協力者であり、転移が始まるであろうタイミングで
時計塔から突き落とすような理由がなく、悟が記憶を失っていることにも
不満を持っているため、動機が無いように思えます。
では、残るは転移現象を利用して山小屋に行く前の2012年のゆに?
設定解説ファンブックにこのような記述があります。
> 悟はゆにの情報で未来を知り、同時に記憶障害が起こるから登ってはいけないと
> 忠告まで受けている(こころに転移した彼に、ゆにが攻撃的口調になったのはこのため)
2012年のゆににとってはこころ達を救うことが最優先であり、
事が起こる前に悟に危害を加える理由がなく、
記憶が無いとお互いに困るのはわかりきっているので、当然の指摘と言えるでしょう。
・・考えるほどに、容疑者がいなくなってしまいます。
実は、重要なのは誰が犯行可能か?という点ではなく、
なぜ悟は時計台に登ったのか?という点です。
悟は記憶障害を起こすと忠告を受けたにも関わらず、時計台に登り、
その通りになってしまいました。
黛達を救いセルフを幽閉し、沙也香のための実験を行う。という悟にとって、
記憶を失う。などということは、本来あってはならないことでしょう。
それでもやらないとならなかった。
つまり、悟にとって時計台から落ちること、そして記憶障害は必要な事だったのです。
では、何故必要だったのか?
計画失敗エンドの悟(記憶を失っている主人公)と、榎本(本当の悟)のセリフから、
その理由が推測できます。
榎本「アイツの記憶を移植されてるとはいえ、ここまでなんにも理解できてないとは……」
榎本「我ながら情けないぜ」
悟「記憶を移植……?」
悟「オレのこの記憶の異常は、やっぱり記憶移植だったのか?」
榎本「…………」
悟「アイツって、誰だ……?」
悟「なんで、こんな風になっちまったんだ?」
榎本「悪いが……」
榎本「そのことだけは答えることができない」
榎本「正確には、答えたくない」
榎本「忌々しい、アイツのことだけはな」
ここで言われる『アイツ』とは、悟が幽閉しようとした『セルフ』、プレイヤーのことです。
第3地点にいる2011年8月の悟は、2012年の時計台でセルフが彼の記憶に干渉したため、
記憶障害が起こったと認識しているのです。
悟は記憶障害と引き換えにしてでもセルフ幽閉の目的を優先し、時計台に登ったのです。
事実、悟が時計台から落ちた直後に、彼の一人称は『俺』から『オレ』へと変化し、
彼の記憶が変化したことが見て取れます。
では、時計台で悟の前に現れた影はプレイヤーだった?
冒頭のシーンを見返していただけるとわかりますが、
プレイヤーの視点は悟と同じものであり、影側の視点ではありません。
プレイヤーが動かす選択などないにも関わらず、影が悟に少しずつ接近していること、
高次元の存在であるプレイヤーの姿が、影とはいえゲーム中に現れるとも考えづらいことから、
影はプレイヤーであるとは思えません。
ではあの影の正体は・・?
TIPSの35にその正体が書かれています。
・ブロッケンの妖怪
日の出や日没時の高山で、前面に霧がたちこめているとき、
太陽の光を背に受けて立つと自分の影が霧に投影されて虹の輪がうかびあがる。
これをブロッケン現象と言う。
濃い雪煙が発生していたSPHIAに、16時の日没の条件が揃ったことで投影された悟の影
それが時計台の影の正体です
影が動いたのは、悟が驚いて後ずさりしたからです。
実体が光源に近づけばその影は大きくなります。
ジリジリ後ずさりする悟には、影が少しずつ近づいているように見えたわけです。
そして雷が落ち光源が変わったことで、その正体が自分の影であることに気づいたが、
足を滑らせ落下し、記憶を失ってしまったのです。
つまり、悟が時計台から落下したのは、
セルフが来ると考え時計台に登ったために、
たまたま雪煙に映り込んだ自分の影をセルフだと勘違いし、ビビって落ちた。
という、なかなかにポンコツな理由になります。
この冒頭の事件も、物語の真相と同じ
彼が、自分がセルフであることに気づかず、勘違いで起こした冤罪事件だったのです。
冒頭の事件が、真相につながっていたわけです。
思えば、この物語には多くの事件がありましたが、
主人公二人の『犯人はこいつだという考えは、ほとんどが冤罪』だったように思えます。
そして重要な事件の多くは『オレの身体』が起こしており、
『犯人は双子の胎児の人格』でした。
それはこの物語の真相が
『悟が自身が真犯人だと気づかずに起こした冤罪事件』であることと、
その影には、『同一軸より生じた双子の人格である沙也香とE人格がいた。』ことに
つながっていたのではないでしょうか?
・記憶障害
悟は時計台から落ち、記憶障害を起こしました。
なぜ記憶障害はあの場所、あのタイミングで起きたのでしょうか?
そもそもあの記憶障害はなんなのか
主人公である金髪の悟は記憶障害を誰かの記憶の移植だと考え、
第3地点にいた黒髪の悟も、彼の記憶障害を『アイツ』の記憶移植だと言いました。
超越的な意思である、プレイヤーの記憶移植である。
彼ら二人はそう考えているのです。
私も、このゲームが発売されてからおよそ17年以上、そうだと思っていました。
しかし、時計台の考察の最後の自分の言葉で、違う可能性もあることに気づいたのです。
『犯人はこいつだという考えは、ほとんどが冤罪』
・・彼らの考える、『アイツ』の記憶移植は、本当に正しいのでしょうか?
2人の悟の言う、記憶移植、それについてまず考察したいと思います。
まず第3地点の黒髪の悟は何故記憶移植だと考えたのか。
これは真相を知った今なら、想像がつきます。
彼は『アイツ』、すなわち『セルフ』に沙也香を殺されたと思い込んでいる。
もちろんそれこそが冤罪で、転移装置を使った救済によるものだった。
その沙也香の救済で2001年の沙也香の人格は未来に消え、代償にE人格が沙也香の体に残る。
悟の視点で考えると、沙也香の死は、人格の消滅ではなく、
E人格という残滓に思える存在が残っているのです。
妹の体に残ったE人格が、沙也香という人格の記憶を奪われたなれの果て
という可能性を考えたのではないでしょうか?
そして、彼の大事な舞台で突然起きる不自然な記憶障害を『アイツ』のせいだと考えた。
第3地点の悟は、E人格の残った沙也香の死と、時計台での悟の記憶障害を結びつけていたわけです。
しかし『アイツ』である我々は沙也香の死とは無関係。そして悟の記憶に影響を与えた記憶もない。
彼の考えと我々の知る真実には大きな食い違いがあるのです。
では、主人公である金髪の悟の考えはどうでしょうか
彼は、あったりなかったりの虫食いのような不自然な記憶障害を、
誰かの記憶の移植だと判断しました。
それはあの時点のプレイヤーの記憶からすれば説得力があり、なるほどと思えるものでした。
しかし、それは本当に正しかったのか・・?
彼の記憶障害を検証するために、彼が覚えていた人物を区分けしてみます。
はっきり覚えている
黛・犬伏
断片的に覚えている
こころ・ゆに
黄泉木・カーリー
覚えていない
穂鳥・榎本・黒髪悟
彼は、黛と犬伏の二人だけは姿を見ただけで名前をはっきり思い出しました。
こころ、ゆに、黄泉木、カーリーは、名前を聞いておぼろげに記憶を思い出しました。
穂鳥のことは名前を聞いても全く記憶がなく、
グラサン榎本と黒髪悟のことも、自分の体であるにも関わらず、
姿を見ても全く何も思い出しませんでした。
悟の記憶障害が、『アイツ』の記憶移植、すなわち
こころ編をクリアしたプレイヤーの記憶が移植されたものだとすると
彼の説明と矛盾する記憶があります。
それは、犬伏と穂鳥の記憶
スフィアで目覚めた悟が、ゆにから穂鳥の名前を聞いても、彼女に関する記憶が全く無く、
半狂乱になった犬伏の姿を見た時も、穂鳥ではなく犬伏としてはっきり認識していました。
黛と犬伏だけは姿を見ただけで名前がわかったのに、穂鳥の名は知らない。
プレイヤーの記憶の移植だとしたら、おかしいのではないでしょうか?
こころは犬伏と穂鳥の人格を結びつけていました。我々プレイヤーも同じでしょう。
それなのに、悟には犬伏の記憶はあっても、穂鳥の記憶が全く無いのです。
黛のように元の悟の記憶があるのであれば、犬伏は妹の沙也香と結びついていないといけない。
プレイヤーの記憶の移植であるなら、犬伏は穂鳥と結びついていないといけない。
犬伏を犬伏としてだけ認識している悟の記憶は、彼の説明とは食い違っているのです。
やはり悟の記憶障害は記憶移植では無く、冤罪・・?
ではこの不完全な穴だらけの記憶は一体何なのでしょうか?
PSP特典でこのような記述がありました。
>中澤:“オレ”は知っているべきことを知らないくせに、ヘンなことは知っている。
>TIPSでも触れていますが、あの偏り具合には理由があるんです。
>どうやったら、彼が持っているようなチグハグな記憶が形成されるのか、
>偶然欠けている訳ではありません、なるべくしてああいう記憶になっているんです。
>それを考えの足がかりにしてください。
偶然ではなく、なるべくして欠けている?
彼の覚えていない記憶は他に何があるでしょう?
彼は目覚めてすぐ、自分の中から『目的』が無くなっていることに気づきました。
生まれてからSPHIAで目覚めるまでの大半の記憶、両親の記憶、
カードキーのこと、地下の扉の奥にある監視部屋や、転移装置のことも記憶がありませんでした。
記憶のない穂鳥・榎本・黒髪悟との共通点はあるのでしょうか・・?
・・彼には、まだ欠けているモノがありました。
悟には犬伏の記憶はあった。だが、沙也香の記憶はなかった。
・・・共通点は――沙也香?
すでに死亡しているという扱いで、かつ犬伏と沙也香が同一人物である。
という真相を知っていないとならないため、非常に気づきにくい状態になっていますが、
悟の記憶から沙也香に関する記憶が無くなっている、
そう考えると辻褄が合うのではないでしょうか?
沙也香の記憶だけではなく、沙也香に関わる全ての記憶――
物心ついてからずっと一緒にいた、そして沙也香の死後も
沙也香のための研究を続けてきたから、生まれてからこれまでの記憶がほとんどなくなった。
沙也香が殺した両親の記憶もなくなった。
そして、彼女を救うための転移装置、彼女を救うための前段階であるユウキドウ計画、
それらに関わることが、その目的も含めて全て消えてしまった。
黛のことは、沙也香と関係がなかったので、ほぼ全てを覚えていた。
こころやゆに、黄泉木やカーリーのことを断片的に覚えていたのは、
沙也香と関係のないところで覚えていた記憶があったからです。
こころやゆに、黄泉木のことはニュースや雑誌、新聞で沙也香に関連しない記憶があり、
カーリーのことも記憶を失うまでSPHIAで共に行動していたため記憶が残った。
だからSPHIAの施設内のことも覚えていた。
カードキーや隠し部屋のことを覚えていないのは転移装置に関わるから。
黛のことをはっきり覚えていながら、彼らを助ける。という記憶と目的が消えていたのは、
これも転移装置が必要不可欠なためでしょう。
榎本と穂鳥、黒髪悟のことを全く覚えていなかったのは、
こころ達と違い、沙也香に関連しないことでの記憶がないためではないでしょうか。
榎本と黒髪悟は計画や転移装置と切り離せないため、覚えていられなかった。
穂鳥のことは新聞に記載がなく、雑誌の登場者リストに名前が記載されているだけだったため、
こころ達のように記憶に残らなかった。
加えて、転移装置による人格転移の対象だったため、覚えていられなかった。
だからあのようなチグハグで不完全な記憶になってしまったのです。
悟の記憶障害は、記憶移植ではなく、
沙也香という存在に関連することに限定した『記憶喪失』だったのです。
では、沙也香に関する『記憶喪失』が、
なぜ時計台のあのタイミングで起こったのか?
彼は時計台で自分に迫る影の正体を知り、落ちた。
その落下の最中に彼の一人称は俺からオレへと変化した。
おそらくそのタイミングで沙也香の記憶を失った。
偶然などではなく、なるべくして。
そこから導き出される答えは・・・・
・・私が、悟こそが真犯人だ。と気づいた時、疑問に思ったことが一つあります。
それは『悟は真相に気づかないのか?』という疑問です。
悟は、こころや我々プレイヤーの疑問を先回りするかのように思考し、
謎を次々と解いていく頭のいい人物でした。
そんな彼が、真相に気づかないまま転移装置を仕上げ、計画を始めるのだろうか?
と不思議だったのです。しかし疑問は解決せず、
勘違いの物語であるという都合上、気づかないことになるのだろう。
と、その疑問を忘れていました。
そうではなかった・・。
悟は気づいていた。気づいてしまっていた。
セルフだと思い込んだ影の正体が、自分の影であったことに気づき、
そこから、セルフが自分であるのではないかということにも気づいてしまった。
――そして、全てを、悟った
自分こそがセルフであり、沙也香を殺したのも自分だったのだ。と
――その真実に彼の精神は耐えられなかった
だから――
――沙也香に関する記憶の全てを失った。
自分が殺した沙也香のこと
沙也香を殺す凶器たる転移装置のこと
沙也香の死に繋がっている、ユウキドウ計画と、沙也香を救うという目的も
そして消すことのできない沙也香の肉体は、
殺人鬼、犬伏景子という存在で上書きされ、沙也香の存在が塗りつぶされた
それが、優希堂悟の記憶障害の真相
彼が影の正体に気づいた直後、場面はこころの飛行機へと変わりました。
そして場面が時計台へと戻ったときには、彼は宙を舞っていた。
我々が見ていなかったところで、彼は全てを悟ったのでしょう。
彼が時計台から落ちたのは、影にビビったなどという理由ではなかった。
真実に絶望し茫然自失となった悟が足を滑らせた
あるいは
記憶を失うことを知っていた悟が、
絶望のあまりそれを望み、身を投げたのではないでしょうか
悟編の終盤で、
『悟』と『心』は、切っても切り離せない関係にある
『悟』は『心』がいないと、ただの『吾/われ』になってしまう
という話がありました。
彼の記憶障害はまさにそれだったのではないでしょうか?
俺(悟)は、沙也香の記憶(心)を失い、オレ(吾)になった。
真実を悟った彼は、絶望の末に記憶を失い、不完全なオレになったのです。
そしてこの記憶障害の真相こそが、勘違いの冤罪事件の先にある、
本当の真相へと繋がっていたのです。
次章、本当の真相へ