(このサイトは旧サイトとなります。
新たにhttps://w.atwiki.jp/remember11/pages/1.htmlにて
考察をまとめ直しています。) 

  • その先に待つもの―真犯人


真犯人を解明するにあたり、まず優希堂悟
(ゲーム中の主人公である金髪のオレ悟ではなく、計画失敗エンドで登場した黒髪の本当の悟)
のその後を追っていきたいと思います。

ユウキドウ計画の目的――転移装置のデータの収集、墜落事故メンバーの救出、
そして『超越的な意志』である『プレイヤー』を幽閉することに<成功>した悟。
沙也香を殺した覚えなどない我々プレイヤーから見れば、
それは成功などと到底言えるものではありませんが、
悟がそれを認識することは出来ないため、計画は成功したと考えた彼が
次のステップに進むのは必然でしょう。

では彼が次に行うこととはなんでしょうか?

それは2001年に死亡したとされる、沙也香の救出です。

前章のユウキドウ計画に関する年表でおわかりになると思いますが、
悟の行動は、一貫して沙也香の存在が元になっています。
そんな人間が、セルフという危険な存在の幽閉に成功し、
転移装置を用いて過去の墜落事故から黛達を救えたのですから、
その後、沙也香を救うために行動しないはずがありません。

彼はユウキドウ計画を始める以前に、
沙也香を救助するためと思われる行動を起こしています。
それは、オーストラリアで行おうとしていた実験――

年表にはこうあります。

2011年
 月日不明――
 悟 18便が東北地方で行方不明になっていることをニュースで知る。
 乗客の名前も放送中に読み上げられたが、悟は時空間転移の実験場探しに集中していたため、
 黛の名前を聞き逃す。
 悟らの導き出した仮説上、時空間転移の転移時間(タイムスリップする時間)の長さは、
 転移空間(テレポートする距離)の長さに比例する。
 長い時間を転移するためには広大な敷地が必要なため、
 日本のように国土の狭い場所では不可能であると判断。
 よって、実験場はオーストラリアに決定する。
 オーストラリア行きの航空機を手配と共に、長期滞在の準備を行う。出発日は01月18日。



この後、墜落した飛行機に黛が乗っていたことを知った悟は予定を変更、
オーストラリア行きと実験は中止となり、
それが本編中のオーストラリア行きチケットと繋がるわけですが、
年表の『転移時間と転移距離は比例する』という部分に注目してください。
今回の舞台となったSPHIAから山小屋までの距離は約500km、
SPHIAからオーストラリアまでだと距離は約7000kmです。
500kmの距離で1年という時間を越えており、
それをそのままSPHIAオーストラリア間に当てはめると14年になります。
(SPHIAが実験場になるとは限りませんので、その距離と期間は前後すると思われます)
実験なら国内で行えば面倒が少なくすむところを、
『長い時間を転移するため』にわざわざ遠く離れた海外を選んだ理由は、
沙也香の救出を想定していたからに他ならないのではないでしょうか?


では、悟は妹を救うために、どうしなければいけないのか。
まず必要な時間を遡れるだけの土地を選定し、
日本とオーストラリアに時空間転移装置を設置、
沙也香の存命時である2001年まで時を遡る。

そして、沙也香を2012年の未来に攫う・・?

TIPSや年表では沙也香の死は明確であり、行方不明とはなっていません。
彼女そのものを未来に連れて行けば、その死に矛盾が生じ、
タイムパラドックスを引き起こすことになるでしょう。

そうなると残る手段は――そう、人格交換現象を使った救助です。
彼女の肉体は過去においてきたまま、沙也香の人格だけを未来に連れ去る。
過去に矛盾や影響を与えることなく彼女を救い出す手段は、おそらくそれしかないのです。

・・・お気づきでしょうか?

未来において沙也香を救う、それは、過去の沙也香の人格を殺すと同義になるということを。
悟には妹を助けたいという強い思いと、それを可能とする転移装置がある。
が、それはすなわち――沙也香を殺す動機であり、凶器となる

悟は沙也香を救うために行動を開始し気づくでしょう。
悟が追い求めていた、沙也香を殺した犯人、『セルフ』と命名したそれは
皮肉極まることに文字通りの自分自身であり、
彼が幽閉した『アイツ』はセルフではなく冤罪であった
、と。

ですが、彼の目からすると何をするかもわからない次元を超越した存在を、
幽閉から解き放つことはあまりに危険
彼は幽閉した存在――我々プレイヤーはそのままに、
沙也香を救うことを決断するのではないでしょうか



  • 沙也香の人格とその肉体


沙也香の人格を過去から救い出すとしても
それには当然、受け皿となる肉体が必要です。
それは――犬伏景子

沙也香の容姿と犬伏景子の容姿はよく似ており、髪の色、目の色、肌の色は同じ、
これは金髪ではなく黒髪の本当の悟の容姿とも一致しています。
また血液型はどちらもAB型、声を当てている声優、DIDであることも共通しており、
犬伏景子と優希堂沙也香の肉体が同じものであることを匂わせています。

悟にとって大事な舞台であるSPHIAに、何をしでかすかわからない、
多重人格殺人鬼という超危険要素が含まれていたことも、
犬伏が沙也香の肉体であり、人格転移が可能であるかどうか
といった、計画後に関わる確認、データの収集も兼ねていた。
という理由があるなら納得出来ます。

犬伏景子の多重人格は、AからKまでで11人格あり、その内のE人格は、
『エンプティ、意思のベクトルが剥ぎ取られたかのようなからっぽの人格』とされています。
(ゲーム本編中にE人格の情報はなく、Prophecy Collection Vol.6のCDドラマでカーリーが解説)
それが沙也香という人格の残滓であると考えられ、
以上のことから犬伏景子は優希堂沙也香であったと判断します。

2012年の犬伏の中にあるE人格を2001年の沙也香の人格と交換することで、
11年ぶりに彼女の人格は元の体に戻ることになり、
過去に矛盾なく沙也香を救えると思われます。

(これによりE人格は2001年~2012年間をループ。
2012年のSPHIAに迷い込んだゆにが2011年に持ち帰り、
2011年~2012年を巡り続けるテラバイトディスクと同じような存在になる・・?
Remember11というタイトルの裏に隠された意味は、Re:member11?
11人格の変革、あるいは11の人格を持つ人間の変革?)


犬伏景子が無差別殺傷事件を起こした際につぶやいた『セルフはどこ?』という言葉も、
彼女が沙也香であり、沙也香の人格=セルフという意味合いだったと思われます。

ドラマCDの小冊子で中澤氏はこうコメントしています
>ドラマの最終回には、本編でも一瞬だけ登場したE人格が現れます。
>犬伏の阿波墨における大虐殺の真意を考える上で、重要なキーとなる要素です。
>『セルフはどこ?』 誰かがどこかへ奪ってしまったのでしょうか。
>誰が?どこへ?そして・・何を?


誰が? ―悟が
どこへ? ―未来へ
そして・・何を奪った? ―沙也香の人格―


そして作中にたびたび登場するかごめ歌は、プレイヤーと悟達を
暗喩していたのではないでしょうか?

かごめかごめ
籠の中の鳥は (幽閉されしプレイヤーは)
いついつ出やる (いつ抜け出すことができるのか)
夜明けの晩に (それはゲームを終えた後の世界に)
鶴と亀が滑った (悟と沙也香が時空を超えることで訪れるだろう)
後ろの正面だあれ (彼らの探し求めていたのは自分自身なのだから)


  • セルフの正体


PSP特典で、中澤氏がこう言っています。
>「作中でキャラクターたちが言っている"セルフ"すべてが
> イコールで結ばれるわけではないです。」

犬伏景子は、欠けてしまった沙也香の人格をセルフと名付け追い求め、 
「セルフはどこ?」という言葉を残した。
のちにそれを知った悟は、それが無差別殺傷事件の直後に発せられた言葉だったがゆえに、
犬伏が沙也香を殺した犯人を探していると勘違いし、
沙也香を殺したであろう超越的な存在をセルフと命名、幽閉することを決意した。
それはきっと、復讐心だけではなく、犬伏に沙也香の体でこれ以上の殺人を犯させないため、

そして、沙也香の人格が蘇った後、もう二度と彼女を殺されないため。
 ――しかし、悟が追い求め幽閉に成功したと思ったセルフは、悟自身であった・・。

犬伏のセルフと悟のセルフは、違う対象でありながらも、
セルフという名が表すとおり、その実どちらも自分自身のことであり、
セルフと混同されるような使い方をされていた『アイツ』は、
プレイヤーであったが、セルフではなかった。


これが「セルフはどこ?」という問いかけより始まる謎の答えです。


次章、真相へ

・余談

全ては沙也香救済のためだった?

そう考えると、ゲーム中の不可解な現象やキャスティングも説明が付くように思えます。

 

悟とこころの『時間を越えた人格転移現象』

これは、作中の主人公であるオレ悟の中に入り込んだであろうセルフを逃さず、
あのエピローグへ導くため

同時に、沙也香を救うための絶対条件である、時間超越人格転移のデータ収集のため

 

『犬伏という危険人物がSPHIAにいたこと』

これも彼女が沙也香であったから

データの収集と外界(特にライプリヒ)からの保護といったところでしょうか

 

『犬伏の人格転移現象』も同様でしょう。

セルフの幽閉だけを考えるなら、犬伏が人格転移する必要はない。

だが彼女が沙也香であるからこそ、多重人格者でも人格転移が問題なく可能なのか、
という救済の為の確認だった。とすればそれは必然の理由になります。

 

悟にとって貴重な情報源だった『テラバイトディスク』は、

沙也香を人格交換で救う際に、代償となる人格が2001年~2012年間をループするため、

ループし情報を蓄積する存在があっても、タイムパラドックスは起きないか。
という確認のために生まれたのではないでしょうか。

 

そして山小屋のゆにが苦心していた、

『起こった過去をなぞりながらの救助』

これも死んだという過去はそのままに、人格だけを未来へさらう。
という、沙也香の救助に繋がります。

しかし、沙也香は人格転移でしか救えない。にも関わらずこころ達はその肉体ごと救えている。

その矛盾は、あの未来の新聞記事が解決してくれます。

こころ、黄泉木、黛、の3人はゆにが救助された半年後に、
身元の特定も困難なほど腐乱した死体の状態で発見された。と記事にはありました。

死体だけだと誰なのかわからないが、乗客名簿を考えれば消去法で特定される死

この特殊な死があったからこそ、彼らを肉体ごと救うことができたのです。

転移現象を利用し、こころ達を2012年に連れ出せば、彼らは行方不明となり
その死に矛盾が出てしまう。

しかし、身代わりとなる3体の死体を用意し、それを雪山に放置することで、
その腐乱した死体は彼ら3人だと認知され、その死に矛盾はなくなるのです。
 

観測され認識された過去はそのままに、観測されていない部分をすり替える。

 

タイムパラドックスを回避するために、世界を騙すかのような方法で、
こころ達と沙也香は救われることになるのです。

 

エンディング後の悟とゆにのやり取りで意味深な会話がありました。
ゆには「歴史は繰り返される。変わることなく永遠に」と言い
悟は「雪崩に巻き込まれて命を失った者は誰もいない。過去が塗り変えられたからだ」と反論

それに対しゆには「違うとも言えるし、違わないとも言える」と返しました。
このやり取りも『変えたけれど変えなかった歴史』のことを言っていたのです。 
 (バッドエンドで腐乱死体の記事の部分が消えるのは、
  新聞が本物の未来の新聞であり、プレイヤーの選択で歴史が変わってしまったためです。)


だからこそ、こころ編のラストでは
生き残ったこころが自分達の死亡した新聞記事を見ることになる。
生き残った先の世界の新聞でも山小屋の新聞と同じく死亡していた。という、
一見矛盾しているかのような状況は、死んでいた人間を救っても、
過去に観測された結果は変えていなかった。という証だったのです。

そして悟は、こころ達の救助の成功で、
歴史を変えることなく沙也香を救済することが可能であることを確認する。
 

人命の救助とセルフの幽閉、この2つが同時に行われていただけでも驚くべきことなのに、
さらに、中止になったオーストラリアでの沙也香救済のための実験も、
距離こそ不足しているとはいえ、それ以外は全てと言っていいほど
条件が整った状態で行われていたのです。
優希堂悟は、作中の舞台でたった1つでも困難なことを3つ同時に、
しかも完璧に成し遂げたことになるわけです。

 

そしてその沙也香救済こそが、Remember11という作品の難解な謎を解く鍵

 

このゲームはあのような終わり方をするだけでなく、
謎の核心に近い情報はほとんどが確定できないようになっています。

 

犬伏景子は優希堂沙也香である。という考察も、ゲーム上の情報だけでは確定できません。
犬伏と沙也香に類似点は多くても、同一人物であるという情報は存在していないのです。

PSP特典でもこのようなやりとりが記載されていました。

 

>――本作独特の難解さを見て、未完の作品だという厳しい評価も一部ではあるようですが?

>中澤:それは言われてもしょうがないです。全ての情報を提示していないのはこちらですからね。

>だからそういうふうに受け取ってしまう方がいるのは、甘んじて受けなければいけない。

 

プレイヤーが幽閉されるという物語であるがために、あのような終わり方をし、

幽閉され物語が進められなくなるがゆえに、その先にある核心に至れる情報が得られない
(全ての情報を提示していない)わけです。

  

しかし、ゲーム後の悟が何をするか、すなわち、沙也香をどうやって救うか。

という考えに作中の情報が加わると、不確かだった情報が確定的なものに変わり、核心へと至れる。
この物語の謎はそんな構造だったのではないでしょうか。

 

悟はゲームの先の世界で何をするのか?
  ―当然、沙也香を救うために行動する。
では、どうすれば沙也香を救えるか?
  ―転移装置を使う。
しかし、こころ達のように死体を偽装出来る死ではない。

  ―人格転移で救うしかない。
だが沙也香と入れ替わる人格はテラバイトディスクのようなループする存在になってしまう。それは未来を知る人格が生まれることになり、これもまたタイムパラドックスの要因となってしまう。

  ―からっぽのE人格と交換することでしか沙也香を救うことができない。だが、その救いはそれを知らない者にとっては死と変わりがない。


ゆえに沙也香を殺した真犯人は優希堂悟であり、E人格を持つ犬伏景子こそが優希堂沙也香である。

 

ゲーム中の、人格転移現象、過去をなぞる救助、テラバイトディスク

そしてドラマCDのE人格

沙也香をどう救うかという考えに、これらの情報が加わると、真犯人が判明し、
不確かであった、犬伏景子と優希堂沙也香が同一人物である。
という推測が、確信に変わるようになっているのです。
そして、それを足がかりにすることで、
セルフやこころ編と悟編のラストシーンの謎も解けていく。

 

あのような終わり方をしてしまうために、

誰もが答えを求めてゲーム中の情報を探し求めるが、答えは見つからない。
TIPS等の作中の情報だけを追っていても、決して答えは見つからない。

終わり方も手伝って、答えさえ用意されてない未完成作品とまで言われることもあるほど
わからない尽くしに思える作品でした。
しかし、唐突な終わりや不確かな情報に惑わされず、
先の世界と過去の世界で何が起こるかを考えた時、答えが見えてくる。
そんな巧妙な謎だったのではないでしょうか。
そんな謎だったからこそ、このゲームは長い間真相を見つけられなかったのではないでしょうか。

 

TIPSの92にはこうありました

最終レベル

それが行われたとき――

仮初めの世界――『Imaginary』は失われ……

世界の掛橋――『Symbolic』を経て……

真理の世界――『Real』は姿を現す。

『第3の眼』の開眼とともに――――。

 

これは『Real』(真相)に至るには、2つの眼で見えるもの(ゲーム中の世界)
だけではなく『第3の眼』という、見えないもの(ゲームの先の世界)を
見る(考える)眼が必要。
というヒントだったのではないでしょうか。

Remember11の重なる3つの輪は、作中の3つの重なり合う存在や事象を表していたと思います。
朱倉岳、青鷺島、穂樽日という3点間での転移、
人命救助とセルフの幽閉と沙也香救済実験という3つの目的、
プレイヤーとテラバイトディスクとE人格という3つのループ、
これらは一見2つを思わせるものでしたが、隠された3つ目の存在がありました。
これも、第3の瞳に通じるのではないでしょうか。
(第3の瞳と3つ目をかけていた・・?)

そしてゲーム中に見えていた過去と現在に、見えなかった未来が重なることで浮かび上がる真実をも表していたのではないでしょうか。